ドラマ「黒革の手帖」のような高級クラブ。ホステスたちが次々と、椅子に置かれた“メガネ”を尻で踏む。そんな印象深いCMを流す「ハズキルーペ」に、壊れちゃったんだけど、とクレームが入っている。

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 念のためにことわっておくが、「ハズキルーペ」は、メガネではない。“メガネ型拡大鏡”である。耐荷重100キロがウリの、掛けられる虫眼鏡だ。お値段は、1万円ほど。

 それが、石坂浩二にはじまり、舘ひろしに渡辺謙、小泉孝太郎。女性は菊川怜に武井咲と、豪華な俳優陣が次々とCM出演。毎年、広告宣伝費に50億円以上を投入しているというから、これだけでも50万本の売り上げが必要な計算だ。今後は100億円をかけるという。街のメガネ店にもポスターが貼られ、ハズキルーペコーナーができている。そんななか、疑惑が湧いてきた。

「落として踏んづけちゃったら、壊れたんです」

 と、ハズキルーペを愛用する60代の男性が頭を掻く。

「シニア向けの高級通販ショップで何本か購入したんですがね。私は85キロだから壊れないだろうと思ってたら、壊れた。で、仕様書を見ると、小さく“耐荷重60キロ”と書かれているじゃないですか。疑問に思いました。CMと違う、と。それで問い合わせたら、耐荷重は、このショップが“国内の第三者機関で確認しているので、仕様書の60キロで間違いない”とのことでね」

通販業界の不文律
 男性はどうもスッキリせず、ハズキルーペにも訊ねてみたという。

「すると、“耐荷重は100キロです”と言い張られてしまって。しかしその一方、ショップの紹介文にも、“柔軟性に優れたフレームはフィット感があり、衝撃にも強く、約60キロまでの重さに耐えられます”とある。この矛盾には、最後まで答えてもらえなかったんです」

“偽装”なのか? たしかに、男性が購入したショップのHPには、耐荷重(約)60キロと記載されている(写真参照)。これが事実なら、尻で踏んづけていたホステスよりも少し大柄な女性ならば、壊せるではないか。

「表示内容に嘘があると法律違反になりますので」

 と、「ハズキカンパニー」の広報担当者。

「そのため、かなり厳密に検査を重ねています。100キロの圧でも、フレーム部分に破損や変形が起こらないか。蔓(つる)に異常が起こらないか。そして、レンズがフレームから外れないかどうか。おもにこの3点です」

 だが、この男性のケースはボールを蹴るのと同じで、勢いよく踏み、実際の体重以上の負荷がかかったのではないかという。では、60キロの表示はどういうことか。

「通販サイトにおいては、お客様からのクレームを防ぐために、実際の仕様よりもあえて低い基準を設定することがあるのです。通販の業界ではそういった不文律もあるようです」

 そんなクレームなんかどこ吹く風と悦に入るのは、同社の松村謙三会長。

「お尻で踏む演出は私の発案です。広告代理店からはこういう案は出てこないでしょ。うちは実店舗を持たないので店舗コストや人件費を抑えられる一方、販売店の拡大に力を入れています。主要コンビニの全国店舗約5万店を超えるほどになりました。ただのルーペとバカにせず、革新的なビジネスとして成立したことをご理解いただけると嬉しいです。それと、春から流れる新CMにも、大御所が出演してくれました」

 どうせなら、100キロ近い方にも踏んでもらいたい。

2019年1月17日号 掲載
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15897868/
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【【話題】ハズキルーペに“偽装”発覚? ホステスのお尻でも壊せる耐荷重 】の続きを読む